変化するということ

カトリック平塚教会報 第95号 2012年 12月 24日発行

平塚教会主任司祭 トーマス・テハン

毎年待降節とクリスマスが近づくと、新しい一年の始まりにおける課題が、いつもの典礼のテーマになります。典礼には、悔い改めて神の国を信じるようにと書いてあります。キリストの誕生は今でも老若男女の注目を集める話です。私は、平塚教会のクリスマス・パーティーで、子どもたちが聖劇を聞いたり演じたりするのを見てきました。しかし、時がたつにつれて、あれだけ心に刻まれたはずの新年の課題が消え去ってしまうように思われます。何か大きなことでも起こらない限り、私たちが変化したり変質したりしないということは、当たり前のことなのでしょう。

2012年の5月15日、私はこんな体験をしました。その日は日曜日でしたが、昼食後、体調がすぐれなかったので、横になって休んでいました。第6地区の会議には出席できないだろうと思われたので、その会議のための文書を送付していました。胸にちょっとした痛みを感じ、胸やけだと感じました。すぐにおさまるので大丈夫だと思っていました。しかし、なんとなく嫌な感じがしたので、病院で診てもらったほうがよいかもしれないと思い立ち、救急車を呼ぶように頼んだのです。病院に行く途中、あまり調子が悪くなく、意識もはっきりしていたので、私は自分がどうなっているのかということを理性的に知ろうとしてもいました。ストレッチャーに乗せられ、病院の廊下を運ばれたのを覚えていますが、その後は何も覚えていません。

胸のあたりに耐えがたい痛みを覚えて、私は目が覚めました。K・・医師は、「ステントを入れたから、すぐに痛みは治まらない。また治療の効果が表れるのに時間がかかる」と言いました。ICUに運ばれる時、見舞いに来てくれた馴染みのある人と何人も出会い、とても勇気づけられました。かくして、3週間にわたる、私の共済病院の入院生活が始まりました。

肺に水がたまったので、そのための治療が必要でした。それで、体中の余分な水分を出さなければなりませんでした。毎日1200カロリー程度の食事と800ミリリットルの水分しか摂取ができない生活になりました。私は、そんな食事で自分が生きていけるとは考えられませんでした。私の食事を見たお見舞い客は、驚いたばかりでなく、そんな食事では私が回復できないのではないかと思ったようです。毎朝早く、私は体重計に乗りました。そして私の体重は減っていきました。入院中に私は6キロも痩せました。たくさんのレントゲンを撮りました。最初の水曜日の朝に行ったMRI検査は大変な思いをしました。MRIの狭いスペースは居心地が悪く、私の検査は通常の2倍の時間がかかりました。最初の週の間中、私は酸素タンクから出ているチューブにつながれ、静脈の点滴をしていたので、身動きもできませんでた。かろうじて、ベッドの傍のスペースを移動するだけでした。

病院のスタッフの皆さんはとても気さくで、有能な人達でした。お見舞い客が来てくれると、とても楽しかったので、私は訪問者が来ることを待ち焦がれていました。入院患者の中には、ほとんど誰も訪れる人がいない方たちもいたので、私は他の入院患者の羨望の的であったに違いありません。私は早くリハビリを始めたかったのですが、親しくしてくれた人達から、リハビリが始まるまでには時間がかかると言われてしまいました。痛みはICUに入ってから数時間でなくなりました。痛みがなくなってから唯一嫌なことは、一晩中酸素マスクをしなければならなかったことです。酸素マスクをしていると、よく眠れなかったからです。

退院する前に、K・・医師と他の三人の病院スタッフから話を聞きました。私が調子悪くなった原因は心臓発作によるもので、心臓の三分の一に損傷があったとのことでした。MRI検査によると、私の心臓の左半分は動いていなかったのだそうです。肺に水がたまったのは、複雑な要因によるものだったそうです。そのため、薬と日常的な運動に加えて、厳しいダイエットを続けなければなりません。診察は30分以内で済みましたが、私は自分が置かれた現実を受け入れ、新しい生活習慣を始めなければなりませんでした。自分の症状が、そんなにひどいものだとは知らなかったので、病状を伝えられた時はショックでした。K・・医師が、私のアイルランド旅行を許可してくれたことは、せめてもの救いでした。ただし、飛行機の中で運動をすることについての注意は受けました。

時々、私は病気など持っていないと感じることもあります。しかし、やはり、エネルギーが足りなくなっているので、休息する必要があるということも思いだされるのです。私が過ごしているこの時間は借り物であり、今の自分の人生は、大きなボーナスなのだと思ったとき、私は変化したのです。もし、あの心臓発作が病院以外のどこかで起きていたら、今、私はこの文章をここで書いているでしょうか。たくさんの方々の祈りと親切に感謝いたします。あのようなご支援がなかったら、このように早く回復できなかったでしょう。

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