特集 一粒会の活動を支援しよう
一粒会(いちりゅうかい)とは、神学生(しんがくせい=司祭になるための養成を受けている学生のこと)の養成を、祈りと献金によって支援している会です。横浜教区には今年、2名の新司祭が誕生しましたが、このことは、教区全体にとっても一粒会会員にとっても、大きな喜びでした。今号は、信徒のみなさんに、一粒会の活動について詳しく知っていただき、活動に参加していただくための特集をお送りします。
一粒会ってなに?
一粒会の発足は、1938年(昭和13年)にまでさかのぼります。土井辰雄東京大司教の司教叙階式に参列した信徒たち数人が、司祭の召命(神の恵みによって、司祭になるよう招かれること)と養成のために「何かをしなくては」と思い立ったのがきっかけでした。その頃、日本の教会には、軍国主義の高まりによる外国人宣教師への迫害や追放など、さまざまな圧迫が加えられていました。そうした状況の中で、多くの信徒が、司祭召命に危機感を抱いていたのでした。
発足当時の一粒会の規則は、司祭召命のために毎日「主祷文(主の祈り)」を一回唱え、祈りのあとに1銭(1円の百分の一)を献金するというものでした。一粒会という名称には、「小さな米粒を毎日一粒ずつ貯えていく」という意味が込められていたのだそうです。
1942年には、横浜教区にも一粒会が発足し、日本人司祭養成の援助を目的として、活動の基礎が築かれました。この活動は、戦中、戦後の混乱期には一時中断を余儀なくされましたが、1952年に再出発を果たしました。現在では、年に一度の「横浜教区一粒会大会」に1,500人が参加するまでに発展し、献金額も年間約5,000万円に達しています。
横浜教区の神学生の動向
横浜教区では、2016年度に2名の新司祭が誕生し、神学院(神学生を養成するための学校。神学校ともいう)への入学者も1名いました。現在の横浜教区の神学生は6名です。
日本カトリック神学院 は6年制で、東京と福岡にキャンパスを持っています。教育課程は、哲学科2年と神学科4年に分かれており、いずれも全寮制です。哲学科1・2年生と神学科4年生(助祭)が東京キャンパス、神学科1・2・3年生が福岡キャンパスで生活しています。現在、東京キャンパスへの一本化が検討されています。日本カトリック神学院で学ぶ全国の神学生数は、36名(うち休学者5名)です。
現在、横浜教区の司祭の平均年齢は、60歳を越えていると言われています。神学校の在校生6人が全員司祭になってくれたとしても、向こう6年間で年平均1人しか司祭の数は増えません。教会の将来を考えたとき、この司祭養成というテーマは、最優先で真剣に取り組まなければならないことがらなのです。
どうやって支援したらいいか
それでは私たちに、何ができるのでしょうか。最も簡単な方法は、一粒会の活動に参加することです。
一粒会は、司祭の召命と成聖(神の恵みによって聖なる者に成ること)のための教区の事業に協力することを目的としています。召命は、教会に与えられた神の恵みです。この召命の恵みを実りあるものに育てることは、教会全体、すなはち司教・司祭とともにすべての信者に課せられた務めです。一粒会会員は、以下のような祈りと献金を、この目的のために捧げています。
祈り 司祭の召命のために毎日祈ること。「司祭の召命を求める祈り」や、ロザリオやその他の祈りを適宜唱える。
司祭の召命を求める祈り
「神である父よ、教会に聖霊のいぶきを注いでください。あなたの愛の招きにこたえて、神と人々に仕える司祭をわたしたちのうちから召し出してください。主、キリストによって。アーメン」
献金 毎月各自の分に応じて一定額を一粒会事業のために献金する。
一粒会大会に参加しよう
一粒会の活動や横浜教区の現状についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ一粒会大会に参加してみましょう。今年は下記のように開催されます。
第49回 横浜教区 一粒会大会
日時 2016年9月22日(秋分の日)10:00~15:00(9:00受付開始)
会場 横浜双葉学園中学高等学校
講話は谷脇慎太郎師と濱田壮久師という、2人の若い神父様から、「召命―わたしの場合」というテーマでお話しいただきます。子どもプログラムでは、子どもたちが楽しみながら信仰に興味を持ち、学び、理解することができるような、様々な企画が用意されています。
一粒会大会へは、毎年、平塚教会から20人前後の参加者があります。大人の方はもちろん、特に小さいお子さんをお持ちの方にご参加いただくよう、ご案内します。
一粒会 担当者にきく
一粒会の仕事は、横浜教区梅村司教からの任命証を授与された人がしています。
「教会の奉仕は何でもしたいと思っていたので、2年前から喜びをもって携わっています」とK・・さん。
一粒会の活動は、他教会では財務担当者に任せているようですが、平塚教会では『横浜教区一粒会会則』に従って、Y・・さんとK・・さんの2人が会費(献金)を集め、毎週ミサ後に集計しています。
献金額は、月100円~1000円以上とまちまちですが、自由な志ですので、金額の多寡ではなく、大勢の方に会員となっていただき、司祭養成のための祈りと献金にご協力いただきたいと思います。
今は、会員だった方々も帰天されたりして少なくなっているので、信徒の皆様にもっと一粒会を知っていただく努力をしなければいけないのかもしれません。でも、一粒会指導司祭の久我純彦神父様から、「あくまでも自由ですから、献金額が少なくても一喜一憂しないように」と言われ、Y・・さんは肩の荷が下りたといいます。
神学生一人につき授業料は年間約200万円ですが、福岡と東京の2ヵ所のキャンパスの維持が負担になり、どちらかひとつにという提案もありますが、実現は難しいようです。
横浜教区の神学生は8名でしたが、今年度2名が叙階しました。去る6月4日の大磯教会での叙階式では、教区内の信徒が大勢集まって、聖堂の外にまであふれて盛大にお祝いしました。感動したK・・さんは、「この仕事を体力が続く限りやりたい」と、声を弾ませていました。
カトリック平塚教会では一粒会の担当者、3名の方がいらっしゃいます。
司祭になるには
最後に、この記事を読んでいる人の中に、召命を感じている方がおられるかも知れないので、横浜教区が定める、神学生になるための資格要件をご紹介します。
教区司祭養成課程のご案内
Ⅰ.横浜教区司祭となることを希望する青年で、22歳以上の者は、日本カトリック神学院で養成を受けることができる。
Ⅱ.志願者の申し込みは、毎年4月下旬までに主任司祭を通じて教区長に提出する。
Ⅲ.日本カトリック神学院入学志願者の資格
1.受洗後、カトリック信者として3年生活し、堅信を受けている22歳以上の男子で、原則として40歳までの独身者であること。
2.志願は本人の自由な意思に基づいていること。
3.司教の推薦があること。
4.所定の入学試験に合格すること(高等学校卒業程度以上の学力を有していること)
TEL:03-3920-2121 FAX:03-5991-0605