キリストは復活した

特集2「霊における会話」ってなんだろう

バチカンで開催されていた「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会」は、昨年10月26日、最終文書の採択をもって終了しました。テーマは「共に歩む教会」でした。シノドスでは、会議の進め方として「霊における会話」という方法が用いられました。日本のカトリック教会の中でも、この方法はさまざまな会合で用いられるようになっています。この特集では、「霊における会話」の進め方についてご紹介します。

シノドスハンドブックの内容を小教区で使いやすいように簡略化しました

 教会にとって欠かせないのは、「交わり」が生まれるための「集い」であり、「共同体」です。キリスト者は、共同体を通して神に出会い、人に出会います。「霊における会話」は特に、共同体が向かう方向性を話し合うときに役立つ方法です。

「霊における会話」を始める前に

目的を明確にする

どんな理由で「霊における会話」を行うかを、参加者に前もって伝える必要があります。特に何かを決定しなければならないときには、「みんなで一緒に祈って、考えましょう」という呼びかけが、参加者一人ひとりの心に聖霊の働きを促す言葉となります。

責任の所在をはっきりとさせる

「霊における会話」を実行した後で、最終的に誰が決定を行うのかを事前に参加者の間で話し合う、あるいは参加者に伝えておくことは欠かせません。

参加者の意見が反映されるように

最終決定者が「霊における会話」の参加者でない場合、「霊における会話」で出された合意事項を最大限に尊重することが保障されていることが、非常に重要です。


「霊における会話」の実際

個人の準備

与えられたテーマについて、個人的に祈ることから始めます。聖霊の導きを願いながら、参加者それぞれが識別(考え、祈り、判断すること)するように呼ばれている問いに対して、自分の答えを準備します。

参加者全員の準備

参加者は「霊における会話」が始まる前に、全員で沈黙のうちに祈ります。これから話し合うテーマについて、聖霊の恵みが働くように願う祈りです。全員による沈黙は、参加者一人ひとりの結びつきを豊かなものにします。

第1ステップ「主語はわたし」

参加者一人ひとりが祈りのうちに得られたことを分かち合い、その発言を他の参加者が注意深く聞くことに専念する時間です。
発言は、一人につき最長3分以内と決めておきます。参加者の中でタイムキーパーを選んでおくといいでしょう。最初に発言する人を決めて、時計回りのように順番に発言していきます。
聞き取れない言葉について質問することはできますが、発言者の語った内容についてコメントしたり、賛否を述べたりしてはいけません。一人ひとりが語っていることに敬意を示しながら、言葉一つひとつを受け止めることが求められます。
数人が分かち合ったのち、その内容を参加者一人ひとりが心に深く刻むために、30秒から1分間の沈黙の祈りを挟みながら、参加者全員の発言を聞きます。
全員の発言を聞き終えたのち、数分間の沈黙の祈りをします。ここでは、参加者一人ひとりの語りを聞く中で心に浮かび上がったこと、その中で最も響いたこと、最も抵抗を感じたこと、大きな課題と感じたことや聖霊が働いていると感じたことについて、祈りのうちに思い巡らせます。

第2ステップ「主語はあなた」

第1ステップで他の参加者から聞いたこと、そして、沈黙の祈りのうちに思い巡らせたことを分かち合う時間です。ここでは、第1ステップで自分が発言しきれなかったことを追加で話すことは禁止されています。第1ステップで参加者一人ひとりから聞いたことを、祈りのうちに思い巡らす中で、自分の心に浮かび上がったことについて発言します。
第1ステップで聞いたことがらに賛成できなかった場合には、相手を尊重しながらそのように発言することができます。ただし、異なる意見を攻撃する、あるいは自分の意見に賛同させるような発言をしてはなりません。
第1ステップ同様、数人が分かち合ったのち、30秒から1分間の沈黙の祈りを挟みながら、参加者全員の発言を聞きます。
全員が発言し終わってから、もし、内容について確認したい点や情報として明確にしておきたい点などがあれば、時間を設けて質問することはできます。
全員が発言し終わったら、再び沈黙の祈りをします。ここでは、第2ステップで各自の発言を聞く中で浮かび上がったことを振り返りながら、聖霊が自分たちをどのように導いているかを明らかにしてもらえるように祈ります。
このとき、1人につき数枚の付箋を配って、参加者の間に浮かび上がった重要なポイントを、一言ないし一文にして付箋に書き留めておく方法もあります。

第3ステップ「主語はわたしたち」

聖霊の導きのもとに、参加者の間に浮かび上がった重要なポイントを明らかにして、その中で一致している部分を見いだす時間です。それとともに、一致し難い部分や新たな発見も見いだしながら、これまでの共同作業を通して得られたものを参加者の間で分かち合います。 このときに大切なのは、参加者一人ひとりが、この作業に自分の声が反映されていると感じられることです。すなわち、すべての参加者の納得のいく形で、このテーマについての「まとめ」に合意が得られることです。
発言は、席順でも自発的でもかまいません。付箋を使う場合は、付箋に書いたことを一人ずつ読み上げながら、A 3の用紙に貼っていく方法もあります。

第3ステップは、参加者全員が同じ意見を持つための合意形成の場ではありません。お互いに「尊重しながらも賛成しない」部分、一致しがたい部分があることを確認する場でもあります。そして、参加者の誰もが自分の声が反映されていると感じられる共同作業を行うのです。こうして、新たな一歩を踏み出せるようになります。
最後に、ともにいてくださった三位一体の神への感謝の祈りを、全員で一緒にささげます。

思いがけない導き

第1ステップから第3ステップまで、聖霊を主役にして神の望みは何であるかを探し求めながら、他の参加者たちの意見を敬意をもって聞いていると、しばしば予期しない導きがあることに気づかされます。
もし、最初から最後まで何の心の動きも変化もなければ、それは「霊における会話」とは言えません。「霊における会話」は、何かしらの動き、それも具体的な動きを促してくれるものなのです。
その意味で、聖霊は私たちに、自分たちの快適な場所から離れ、柔和な心で、変化を恐れずに、不安定さの中で、信頼して新たな一歩を踏み出すように招いているのです。

「霊における会話」の流れ

個人の準備 与えられたテーマについて、祈りながら自分の答えを準備する
全員の準備 会話をはじめる前に、参加者全員で聖霊の働きを祈る
第1ステップ 参加者一人ひとりが、祈りのうちに得られたことを分かち合う
沈黙と祈り 参加者の分かち合いを聞く中で、心に浮かんだことを思い巡らせる
第2ステップ 第1ステップで聞いたことについて、沈黙のうちに思い巡らせたことを分かち合う
沈黙と祈り 第2ステップの分かち合いを聞く中で、心に浮かんだことを思い巡らせる
第3ステップ 参加者の間に浮かび上がった重要なポイントを明らかにし、一致している部分、一致し難い部分、新たな発見などについて分かち合う
感謝の祈り ともにいてくださった神への感謝の祈りを、全員でささげる

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