クリスマス ― 神様の愛し方

カトリック平塚教会報 第121号 2021年12月24日発行

平塚教会主任司祭 トーマス・テハン

人生とは、絶えず広がりながら、複雑に変化していくものです。この一年を振り返っても、宇宙開発、特に火星での科学的な進歩は目覚ましいものがありました。また、猛暑、洪水、山火事などの現象は、すっかり馴染みのものとなりました。デルタ株は制御可能かと思われましたが、驚くべきことに支配的な変異株となりました。私たちには、まだまだ学ぶべきことがたくさんあります。延期されたオリンピックもリスクが懸念される中で開催され、その成功には、関係する人々による多大な協力がありました。

科学者は、気候変動について警告を発し、人類が地球上で生存を続けるには、行動変容が急務であるとしています。私たちは基本に立ち返り、炭素レベルの削減や、地球がすべての生物のものであるという原則をまっとうするために、互いに協力する必要があります。教皇フランシスコは、それをどのように行なうかについて、良い視点を与えてくださいました。  マスメディアは、前述のような危機に関するデータを絶えず伝えています。これらの過剰なデータに対する私自身の対処法は、頭と心を空っぽにして、毎朝30分間、考えたり、思い出したり、望んだりせずに、静かにじっとそこに存在することです。その間に、神様が行いたいことをなさってくださると信じています。 ここにクリスマスの神秘のひとつの側面があります。聖霊によって子を授かることを大天使ガブリエルに知らされたときに、マリアは祈りを捧げていたと思います。マリアは、それがどんな状況をもたらすかわからなかったのですが、神様が愛してくださっていることは分かっていました。それで、神様への信頼によって、「お言葉どおり、この身に成りますように」と、応えました。マリアは喜びにあふれ、そのよい知らせを従姉のエリザベスと分ちあうため、しばらく従姉のもとに身をよせました。日常が非日常となったのです。 ルカによる福音で述べられている最初のクリスマスは、神様の物事のなされ方を私たちに示しています。生まれたばかりの子どもの傷つきやすさは、どういうわけか最も心を閉ざした人にさえ拒絶できません。生まれたばかりの子はみな、神様の似姿によって作られた神の種です。私たち全員が、キリストにおいて神へと成長する力を持っているのです。 イエスは日常の生活の出来事を通して、その方法を教えてくださいます。愛の中で行われる日常の出来事は、永遠の広がりを与えてくれます。イエスは、ご自分が行っていることを充分に心得ており、私たちが同じ事を行うように導いています。イエスは、言葉とともに感覚を用いました。 イエスは父の私たちへの愛について、次のように証言しています。「わたしを見た者は、父を見たのだ。わたしが父の内におり、父がわたしの内におられるからである」。私たちは父に愛されていますが、その愛には、ほかの人々によって表現されるという経験が必要です。生まれたばかりの子どもは、愛情をもって抱かれ、触れられ、キスされることで、父の愛を経験します。子は、喜びの笑顔や笑いによって、その愛を受け入れます。

マリアとヨゼフは、未知のことに向き合うことになりましたが、自分たちが神様に愛されていることを理解していました。私たちが、マリアとヨゼフのように、希望と勇気をもって神様の呼びかけに応えられますように。そして、このクリスマスが、神様が私たち一人ひとりにしてくださっていることへの気づきとなりますように。 (訳:M.U)


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