受 肉

●洗礼を受けて A.Sさん画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20221224-S-B2.jpg

平塚教会の皆さま、お世話になります。今年の4月16日に、テハン神父さまから洗礼を授かりましたユスト眞章洋です。今日は私が洗礼を授かりました経緯について、少し長くなりますが、順を追って話します。
私は2003年に、仕事の関係で静岡市から平塚市に転居し、またそのころから平塚教会の近くに住み始めました。2019年初夏、私は持病に伴って発症したと思われる、『心の問題』について診察を受けました。この当時、私自身の抱えていた心の問題によって、築いていた家庭生活に陰りが見え始めていたころでしたので、そんな状況を一日も早く打破して、幸せな家庭を取りもどそうと私は躍起になっておりました。
そしてなんとか、たどり着いた都内の病院で私は、医師から『依存症』と診断を受け、AA(アルコホーリクス・アノニマス)等の自助会に通うように指示されました。依存症と診断を受けて、私は自分がアルコールやギャンブル、買い物、性に関して特に依存傾向がないと自負していたため、その時は自分自身が依存性者であることやそれが進行性の病であることを、少しも理解しておりませんでした。
ただ、家庭生活を続けていくためには、私の依存症的な行動を改める必要性があり、AAをはじめとしたいくつかのグループに通いました。そして、一口で依存症といっても、人によって起きるアディクション=嗜癖がアルコールやギャンブルなどと異なることが分かり、私の依存傾向が共依存症者に近いことを知りました。
グループ内では、分かち合いと呼ばれるミーティングを行い、自分の名前など個人を特定する事項を一切話さずに、ただ自分自身のこと、依存症的な行動について素直に話します。これは自分以外の同じ依存症者の仲間の言葉を通して自身の心の糧とし、また体験を得るためです。また12のステップを使って、依存症からの回復を目指します。
ミーティングに通って数ヶ月過ぎたころ、私はスポンサーと呼ばれる先ゆく仲間から、ステップを授かりました。ステップの中で、依存症を治すには、自分を超えた偉大な力=神さまの力を信じ、神の配慮に身を委ねることが必要であることを教わりました。
しかしながら、依存症の真っ只中にいた私にとって、神さまに身を委ねるという行為は、自分の中で考えもしないことで、すぐにはその教えは、私の中で受けいれられないものでした。それよりも、即時解決できる自分の力を武器に、『傲慢』と呼ばれても私が正しいと思う世界を築くことに必死になっておりました。私なりに理性的、理知的に考え、筋道や理詰めで自己の正統性を声と身振りで他者に語り、自分の正しさを明かすことに夢中になっておりました。
その時の気持ちや行動が間違いであったか否か、今でも分かりませんが、少なくとも、目隠しをして、綱渡りをするほどおぼつかない行為だったと思います。自分には出来ないことを認めず、救いを求める気持ちに自ら蓋をして、とらわれの中に生きていました。『家族』、『家庭』、『仕事』のすべてを自分の思うとおりにコントロールすることにとらわれました。
そして、何もかも手放さなくてはならない段階になって、初めて、自分が無力であることを身に染みて理解し、とらわれの心や考えをそこで初めて捨てて、謙虚に神さまと向き合うことを決めました。神さまとの意識的な触れ合いと、仲間を通して語られる言葉によって、私は人生における大切なもの、信じること、希望、愛する力、生きる喜びを改めて与えていただきました。自分が回復に至った経緯は、とても不思議な体験であり、それは神さまは確かにいらっしゃり、そのお力に触れたからだと思います。ほかに表現もできない、でも確かな体験をさせていただきました。
ステップの終わりの日に、この教えであるプログラムをカトリック教会や神父さま達が支えてくださっていたことを知り、感謝いたしました。それから、ずっと、私のどうしようもない状況を助けてくれたカトリック教会に近づける日を待ちました。そして、2021年のある夜に、平塚教会の掲示板に貼られた『分かち合い』のお知らせを見て、何かを直感し、土曜会に参加させていただき、今に至ります。
テハン神父さまから洗礼を授かり、カトリック信徒として、神さまと向き合い、今ある自分の意識を超えて、物事を俯瞰してみることができるようになりました。至らない私でありますが、平塚教会の皆さまのご指導のもと、信徒として歩んで行きたいと思います。よろしくお願いいたします。

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