クリスマスに寄せて

カトリック平塚教会報 第92号 2011年 12月 24日発行

平塚教会主任司祭 トーマス・テハン

2011年は、「人類はさまざまな災害に対処してこなかった」ことを私たちが思い知らされた1年でした。3月11日、日本は巨大地震に見舞われました。技術の発達によって、世界中の人々がリアルタイムでその惨事を見ることになってしまいました。命を失った人々、家や財産を失った人々に対する弔意が次々と表明されました。津波は広範囲に被害をもたらし、原発問題は今後何年も解決されないままでしょう。しかも実際の被害は、まだ知られていないのかもしれないのです。

世界の様々な地域が、考えられないような厳しい異常気象に見舞われました。世界の人口は70億人に達しました。飲料水の供給減少、干ばつや異常なまでの洪水、飢饉、海面上昇など、これまで以上に多くの災害があるかもしれないと言われています。また、私たちは地球上に絶滅危惧種があること、いくつかの文化や言語が消滅しつつあるということに、もっと注目しなければなりません。私たち人類の間に、重苦しい気分が広がっているとしても、何の不思議もありません。

クリスマスは、私たちに大切なメッセージを発しています。クリスマスの深夜ミサの第1朗読には次のようなことが書いてあります。

「闇の中を歩む民は、大いなる光を見、死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。あなたは深い喜びと大きな楽しみをお与えになり人々は御前に喜び祝った。刈り入れの時を祝うように、戦利品を分け合って楽しむように。(中略)ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、『驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君』と唱えられる。ダビデの王座とその王国に権威は増し、平和は絶えることがない。王国は正義と恵みの業によって、今もそしてとこしえに、立てられ支えられる。万軍の主の熱意がこれを成し遂げる」(イザヤ書9章1-2、5-6)

イザヤはバビロン捕囚を念頭に置いてこの文を書いています。バビロン捕囚は、イスラエルの歴史において苦難の時代でした。その時代、イスラエルの民は神との契約を守ろうとしていませんでした。それでも、イザヤは人々に希望を与えたいと思っていました。私たちキリスト教徒は、イザヤの預言がナザレのイエスの誕生によって実現したと信じています。イエスの誕生はルカの福音書の中で語られているように、驚くべき物語です。神の子が貧しさの中に誕生しました。神が人になるというあり得ない神秘的なできごとの証人は、父母の他には羊飼いと東方からの訪問者だけでした。
イエスは完全に人間であると同時に、神と深いつながりを持っていました。彼はたゆまぬ祈りと行いによって神とのつながりを育んでいたのです。そして「山上の垂訓」で彼の教えを明らかにしたのです。イエスは弟子たちを呼び集め、「世の終わりまで弟子たちとともにいる」と聖霊を通して約束をしました。イエスはご自分の命を捧げ、死者の中から生き返り、新しい創造を成し遂げたのです。私たちキリスト教徒はイエスの弟子となるために呼ばれています。また彼の証人となるために呼ばれているのです。私たちは世の光となり、地の塩となるために呼ばれています。私たちは現代におけるイエスの身体なのです。かつてイエスの手や目や耳がイエスのために働いたように、今は私たちが働かなければならないのです。

残念なことに、長い間、多くのキリスト教徒は、世俗にまみれないようにしたいと思っても、気が付くとまみれてしまっていました。イエスはあらゆる「神による創造物」を肯定的にとらえています。彼のこの姿勢は、ヘブライ人であるという背景に支えられています。彼が「神による創造物」を肯定的にとらえるのは、「創造物」に対する畏敬の念があるからです。この畏敬の念こそが今日最も求められているものなのです。この畏敬の念がなければ、私たちは神の創造物に宿る命を滅ぼしてしまいます。今日の人類の問題の多くは、畏敬の念の欠如に起因するのです。

「イエスにとって、神はどのような存在であるか」という問題に対する答えに、私たちはヒントを見つけることができます。イギリスの神学者であるノリッチのジュリアンは、かつて神をこのように述べていました。「安らぎと思いやり、幸福と平和そのものであった。その美しい顔は、最高の交響曲のように、はかり知れない愛を放っていた。その素晴らしい顔は、天の国を喜びと光で満たしていた」。
クリスマスを祝う私たちが、神の深い愛を世の中に伝えることができますように。

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