聖母被昇天の祝日に寄せて

災害支援ボランティアに参加して

3月11日、日本の災害史上最大と言われるM9.0の地震が東北地方太平洋沿岸を襲ってからすでに4ヶ月がたった。巨大津波と原発事故によってもたらされた甚大な被害とその復旧、困難を極める復興の実情は毎日のように詳しく報道されている。災害発生から約2ヶ月半後にあたる、去る5月末から6月の初めにかけて丁度一週間ほど、宮城県仙台市に隣接した被災地へ災害支援のボランティアに参加してきた。私たちが参加することになった動機は、同じ町内に居住する知人の「日本人なら誰でも、この惨状は放っておけない。自分も何らかの力になりたい」という熱意にほだされて、いろいろ相談に乗っているうちに、気が付いたら自分たちも同行することになってしまったというのが実情に近いと思う。細かいいきさつは省略するが、ボランティア受け入れ先をネット検索してみた結果、カリタスジャパンが宮城県で立ち上げた災害サポートセンターにかなり具体的な内容が記載されていて、仙台を中心に設けられた作業拠点の一つである塩竈ベースが差し当たり無難そうなことが分かり、あらかじめ登録して参加することになった。


同行したメンバーは知人のF氏と私たち夫婦に加えて、福島県在住の知人Kさんも現地で合流することになり、はからずも年齢的には60歳代後半者1名と70歳代前半者3名という高齢者グループでの災害支援参加となった。
5月29日日曜日の朝、車で平塚を発って約7時間かけてカリタスジャパンの仙台サポートセンター(仙台教会内)についた。そこで簡単なオリエンテーションを受けたのち、夕刻4時ころ約15km離れたボランティア拠点である塩竈カトリック教会へ向かった。ボランティア拠点「塩竈ベース」は4月半ばごろ塩竈教会信徒が中心になって立ち上げられたもので、3月11日の巨大津波の際には、塩竈教会の数10m先まで津波が迫り、かろうじて浸水をまぬがれたという。木造の教会内の聖堂、信徒ホールの床にはそれぞれ30畳位のたたみが敷きつめられていて、聖堂は夜間女性ボランティアの寝室として利用されるが、信徒ホールは男性ボランティアの夜間寝室として利用されるほか、ボランティア全員の朝夕の食事、活動に出かける前のミーティング、夕食後の分かち合いなど「塩竈ベース」での起居全般に用いられている。聖堂、ホールは日曜日には塩竈教会信徒が使用するから、日頃利用させていただいているボランティアは十分そのことも意識して行動する必要がある。

カリタスジャパン仙台災害サポートセンターによるボランティア募集要項では、「塩竈ベース」の募集人員は男性15名女性10名位とされているが、ゴールデンウィーク前後は40名近いボランティアで盛況を極めたらしい。我々のいた月~金の5日間、男性女性とも毎日新しく来た人と帰る人の出入りで人数に不同はあったが多いときで20数名、少ないときで10数名程度だった。ボランティアは男女とも30歳前後を中心に各年代の方たちが国内全地から来ていて、鹿児島や長崎から来た人たち、関西から北陸周りで車で来た高齢男性や、はるばるフランスから帰国を兼ねてボランティアに参加しているご夫妻(夫…仏人)、埼玉教区から派遣されてきている外国籍シスターなど、カトリック以外の方達も含め多彩な方々と活動を共にすることが出来た。ボランティアとしての滞在期間は最低1日の人から長い人では数週間に及ぶとのこと、またリピーターとして何回も参加している人同士が再会を喜び合っている光景も見られた。


私たちが従事したボランティア活動はおよそ次のようなものだった。拠点から近い塩竃港のある松島湾にはたくさんの島があり、その中で人の住む島が4島ある内の野々島という戸数、数10戸、人口200人足らずの小さな島へ毎日、片道1時間位かけて船でわたる。松島湾の入り口にある幾つかの島が防波堤の役割をしてくれたため、野々島の津波被災家屋はそれほど壊滅的な打撃はこうむっていないが、建物の1階部分は全部潮をかぶっているため、家財、什器、備品、布団など全部使い物にならなくなっている。災害後2ヵ月半を経過しているにもかかわらず島民はほとんど災害避難しており、行政の手も及ばないため復旧作業にはボランティアの手が欠かせないとのことだった。したがってこれら被災家屋の家財の搬出と分別放棄、敷地内のありとあらゆるゴミ、ガラス、漂着物などの片づけなどが私たちの主な作業だった。また島全体が1m近く地盤沈下しているため、満潮時船着場のふ頭は波をかぶっており、ふ頭から数10m離れた家屋の庭先まで海水が来ているので応急処置として、土嚢を多数用意する必要があり、津波で周辺に堆積した砂や砂利を集めて1袋30Kg近い重量の土嚢を10人足らずの人数で1日に350袋も作ったり、これをリヤカーや1輪車で100m以上運ぶ作業は、日頃経験したことのない重労働で、70歳を過ぎた老躯には正直なところ目が回りそうなくらい堪える仕事だった。

カリタスジャパン「塩竈ベース」のボランティア活動でも私たちの参加した際の男女25人ほどの人数うち、滋賀県から独りで駆けつけた現役大工さん(73歳)を含む高齢者5人組の活躍はあまり例のないことだった由で、30歳代を主体とするボランティアの皆さんの間では、「シルバーパワー」もあなどれないとひそかに評判になっていたらしい。夕方のミーティングでは「自分の両親では到底考えられないことだ」というお褒めの言葉を複数の方から頂いた。

われわれが「塩竈ベース」にお世話になっていた時期、たまたま東京多摩教会の晴佐久昌英神父様が、カリタスジャパンの災害支援と被災地の実情を知るためお出でになっており、宿泊は近くのホテルを利用されていたが、3日間にわたって早朝6時半から二階の小聖堂でミサを捧げて下さり、カトリックのミサ初体験という未信者の方も交えて10名程度の人数で毎回、新鮮で印象深い祈りのひと時を過ごすことができた。災害地で本当に困っている被災者のために、ボランティア全体が心をひとつにして協力する姿かたちは、限りなく原初のカトリック教会の精神そのものであり、すばらしいことだと晴佐久神父は何度も仰っていた。


平塚教会チャリティー・ミニバザー


6月26日(日)、「Peace be with you」の合言葉のもとに、東日本大震災のためのミニバザーが催されました。
バザーでは特に中・高生のみんなががんばってくれ、当初の予想を大幅に上回る129,594円もの売り上げとなりました。中・高生の皆さん「お疲れさま!」。また、お手伝いくださった皆さんフィリピンコミュニティーの皆さんありがとうございました。
そしてなにより、この震災で被災された方々の一日も早いご復興を心よりお祈り申しあげます。

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