いのちの言葉

カトリック平塚教会報 第87号 2010年 3月 28日発行

平塚教会主任司祭 トーマス・テハン

毎週火曜日1時から平塚教会で「祈りの会」があります。心身をリラックスさせるエクササイズをしてから、最近自分の生活の中で良かった事について話します。
そして皆一人ずつ、先週日曜日の「聖書と典礼」に書いてある福音書を読みます。参加している人が5人なら、5回福音書が読まれます。
しばらくの間黙祷してから、聖書の言葉を選び、一人ひとり話します。

今日はルカ福音5章1から11節の個所について分かち合いましょう。「イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。イエスは二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。話し終わったとき、シモンに、『沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい』と言われた。シモンは、『先生、私たちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう』と答えた。そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。これを見たシモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏して、『主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです』と言った。とれた魚にシモンも一緒にいた者も皆驚いたからである。シモンの仲間、ゼベダイの子のヤコブもヨハネも同様だった。すると、イエスはシモンに言われた。『恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる』そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った」
群衆は神の言葉を聞こうとして、イエスのいる所に来ました。イエスが話し終わった時の群衆の反応に対して聖書には何も書いてありません。

神の言葉を聞く意味は何でしょう?イエスの誕生以前500年ぐらいの間は、イスラエルに預言者はいませんでした。祭司エズラは律法を会衆の前で読みました。イスラエル人にとって律法は神の言葉です。その時以来預言者の役割が必要ではありませんでした。
しかしイエスの時代になって、新しい預言者が出て来ました。イエスが預言者であるかどうか、群衆は神の言葉を聞こうと思いました。
群衆よりもシモンからの反応が出ました。「お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」とシモンが答えました。シモンは漁師でした。漁師でないイエスが「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた事に対して、シモンはどう感じたでしょうか? 嫌な感じがしたことと思います。それで、「私たちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした」と、シモンは答えました。
シモンの大切な模範は何も出来ないではなくて、イエスの言葉に従い網を降ろした事でしょう。
信仰の賜物はその通りだと思います。神の力により、必要があればやってみましょうと言う態度を持っている人は、信仰を持っている人だと思います。

沢山の魚がとれ、シモンと仲間たちは皆驚きました。シモンの驚きは複雑でした。彼はイエスに言いました。「わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」尊敬する気持ちと恐怖の気持ちが現れました。シモンは最初にイエスに対して「先生」と言いました。その後「主」と言いました。「先生」とは、イエスは偉い人だとの意味でしょう。しかし、「主」の言葉は関わりを持っているという意味でしょう。シモンは回心する気持ちになりました。イエスはシモンに言われました。「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる」シモンも仲間もイエスの言葉を聞き、安心し、すべてを捨ててイエスに従いました。

ルカは賢いです。シモンの心の中で行ったことを表現するのは面白いと思います。シモンは魚をとる漁師から、人間をとる漁師になりました。彼はイエスの言葉を聞き、網を降ろしました。その後にすべてを捨ててイエスに従いました。
私たちもイエスの言葉を聞き、心からやってみましょう。それは、シモンと同じように新しい冒険になるでしょう。

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